本研究室では学部を卒業して就職することより大学院に進学することを強く勧めております。その理由はいろいろありますが、一言で言えば学生のためです。よく進学しない理由として金銭的な理由を挙げる人がいます。進学するより就職したほうが得だという理由です。
これは本当でしょうか。確かに、単純に数字の足し引き算で計算すれば就職したほうが得だとすぐわかりますが、実際はそれは得ではなく毒です。そのような計算なら高校を出てすぐ就職するのがもっともっと得でしょう。ここでは学生に進学を勧める、一番大きな理由二つをあげて簡単に説明します。
まずは研究です。「研究に関して」のページに研究そのものに関する説明をしたのでまだ読んでいない人は参考にしてください。大学で学生が研究できるポジションというのは3種類あります。学部4年生でやる卒業研究、博士前期過程でやる修士研究、博士後期過程でやる博士研究です。これらについて例えると、卒業研究は研究の体験コース、修士研究は研究学校、博士研究は研究のプロライセンススクールです。卒業研究は企業から見ると研究の味見をしただけにしか見えません。専門研究機関で働いたり、大学の先生になれるのは研究のプロじゃないといけないので博士号が必要です。これはまた適性の問題があったり、できる仕事の幅が狭くなったりするので本当に興味がある人にしか勧めません。しかし、私は修士というのはバランスの取れた、ちょうどいい存在だと思っています。研究も3年間(学部1年+修士2年)行い、それなりの能力が身についたし、また本格的な研究をやってみて自分の本当の適性が何であるのか十分熟考したので、どの会社に就職するか、または博士に進学するかの判断ができるようになったし、最高いや最強の存在といえるでしょう。
次の理由は、生き残るための差別化です。社会に出ると競争の連続です。この中で長く生き延びて勝ち組になるためには自分の価値を上げる必要があります。となると同じ専門をもっても学部卒と院卒は全く異なります。この違いは入社してすぐの人には感じられませんが、ある時期になるとその差の大きさが感じられるようになります。しかし、もう過去には戻れません。後悔しても後の祭りです。少なくとも進学して修士号を持っていれば一生後悔することはまずないはずです。
かなり、強気の発言を連発していますが、もう一つ勘違いしないでほしいことがあります。それは、院進は薦めるけど強制ではないことです。当たり前のことです。実際も本研究室の院への平均進学率は5割程度です。